近年、転勤や留学、移住などで海外に住む人が増えています。そのため、相続人の中に海外に住んでいる人がいるというケースが目立つようになってきました。   相続人の中に海外に居住する人がいた場合、どのようなことを知っておけばよいでしょうか。   これから、相続人が海外にいる場合の相続手続きについて、知っておきたいポイントをお伝えします。   youtubeでも海外が絡む相続について解説しています!   国際相続に該当しそうな方はぜひご覧ください。   家族が死亡して、土地や建物、預金、保険などの相続財産があるときは、遺産相続を行います。   。ただし、日本にいる相続人と同様の手続きをしなければなりません。   遺産相続では、以下の点を確定させて手続きを行います。● 相続させる人(相続の相手)● 相続させる財産の内容● 相続させる金額   これらの事項は、遺言で指定されている場合もあります。しかし、現実には遺言が用意されていないケースが多いため、ほとんどの場合は相続人どうしでをする必要があります。   遺産分割協議は、相続人全員で遺産相続について協議する場のことです。海外在住の相続人がいるなど、相続人全員で集まって話し合うことが難しい状況であれば、電話やメールなどで話をまとめていくこともできます。   遺産分割協議の内容は、「」を作成して記録します。遺産分割協議書には、相続人全員が署名して実印で押印する必要がありますが、順番に郵送で回して署名・押印することもできます。相続人の一人が海外に住んでいる場合には、この方法で行っていくケースが多くなるでしょう。   遺産分割協議書の書き方については、下記の記事を参照してください。   遺産分割でもめないために【遺産分割協議とは?】 海外に居住している相続人も遺産分割協議への参加・協議書への署名が必要海外に居住している相続人も遺産分割協議への参加・協議書への署名が必要   故人の預金の解約や不動産の名義変更(相続登記)などの手続きでは、遺産分割協議書とあわせて「印鑑証明」の提出が必要です。相続登記では不動産を相続した人の「住民票」の提出も必要になります。   ところが、相続人が海外に居住していて日本の住民登録を抹消している場合は、これらの書類を準備することができません。海外在住の相続人は、これらの書類の代わりとなるものを準備する必要があります。 サイン証明(署名証明)の例   日本では、契約するときに多くの場合で印鑑が必要となります。海外では同じようなときにサイン(署名)をします。   海外在住の相続人は、現地の在外公館(大使館・領事館)で「」を受けて、自分のサインを印鑑の代わりに使用できるよう手続きをします。   サイン証明(署名証明)を受けるには、遺産分割協議書を現地の在外公館に持参します。係官の前で遺産分割協議書にサインすると、在外公館の発行する証明書が綴じ込まれ、サインが本人のものであることが証明されます。   このようにして取得したサイン証明(署名証明)は、日本での印鑑証明と同様の効力をもつものとなります。 在留証明の例   海外在住の相続人で住民票が必要な場合は、住民票の代わりにを入手します。   在留証明は、サイン証明と同様に現地の在外公館で発行されます。サイン証明と同時に申請するとよいでしょう。   在留証明の発行には、以下の条件があります。● 日本国籍があること● 現地にすでに3か月以上滞在し、かつ現在も居住していること   発行を受けるときは、パスポートのほか、賃貸契約書や公共料金の請求書など滞在期間と居住地がわかるものを持参します。領事館によっては永住ビザや現地の運転免許証(ドライバーズライセンス)でも受け付けてくれますが、事前に確認すると確実でしょう。   遺産を受け取った相続人は、海外に居住していても日本の相続税が課税され、申告が必要となります。   亡くなった被相続人が保有していた財産であれば、原則として、日本国内の財産だけでなく海外の財産についても課税の対象になります。   ただし、被相続人と相続人の両方が10年以上海外に居住している場合は、被相続人の国内財産のみ課税の対象となり、海外財産は対象になりません。   相続人が海外に居住している場合は、遺産相続の手続きは通常よりも複雑になります。   海外では印鑑証明や住民票が取得できないため、代わるものとしてサイン証明(署名証明)や在留証明を取得します。これらの書類を取得するときは、在外公館に直接出向いて申請する必要があります。   相続人が海外にいる場合は、専門家に相談して相続の手続きを進めるという方法もあります。また、ご自身の相続人になる見込みの人が海外に住んでいる場合は、遺言を作成しておくことで遺産相続がスムーズに進むでしょう。   チェスターでは海外が絡む国際相続の対応も可能です。   詳しくはこちらのページをご覧ください。   まずは海外が絡む相続であっても日本の相続税の課税対象かフローチャートで簡単に確認ができますので、以下のページよりサービスと併せてご覧ください。