車両制限と特殊車両の通行許可
道路を通行できる車両の制限
車両の一般的制限値
道路は、一定の大きさや重さの車両が通行することを想定して作られています。 道路の構造を保全し、交通の危険を防ぐために、それを超える車両の通行は原則禁止されています。
道路を通行できる車両の一般的な制限値は幅2.5m、高さ3.8m、総重量20t等とされています(各種例外あり)。
制限が緩和されている道路や車両
指定道路や構造が特殊な車両については、下表のとおり制限が緩和されています。
個別に制限されている道路
道路管理者が個別に重量や高さを制限している道路は、その制限までの車両しか通れません。〔参考:道路管理者による車両の高さや重量の制限〕
道路の幅に応じて通れる車両の幅が定められています。〔参考:道路を通れる最大幅と通行認定〕
特殊車両の通行確認・通行許可の制度
上述の一般的な制限を超える車両や構造が特殊な車両で道路を通行するときは、道路管理者の通行の許可が必要です。 この許可を特殊車両の通行許可といい、下表のとおり、大きく分けて2つの制度があります。
道路情報便覧
道路情報便覧は、特殊車両の通行の審査を行うために必要となる道路の情報を収録した資料です。 特殊車両が通行すると見込まれる道路の、橋梁、車道幅員、上空障害、曲線部、交差点、屈曲部の情報を、道路管理者が調査して収録しています。
特殊車両の通行許可の事務
特殊車両の通行許可の申請があったとき、道路管理者は道路の構造と車両の諸元との関係を個別に審査します。 他の道路管理者の道路は、道路情報便覧などで審査ができるときは、申請を受けた道路管理者が代行して審査します。 他の道路管理者の道路が未収録道路であるなど、代行して審査できないときは、他の道路管理者に協議します。 許可をするときは必要な条件を附して許可証を発行し、許可できないときは不許可通知書で通知します。
審査には各種の定めがあるほか、自治体で事務処理要領を定めている場合もあります 1~7) 。 事務をする部署を集約して、職場でノウハウが共有できるようにしている道路管理者もあります。
審査
道路管理者は次のような審査を行います 1) 。
道路情報便覧関係の事務
特殊車両で通行したい道路が道路情報便覧に収録されていると、特殊車両通行確認制度が使えるなど、申請者にも道路管理者にもメリットがあります。
通行したい道路が未収録道路のときは、申請者は個別審査のために、路線名や通行経路、出発地、目的地がわかる地図などを添付して申請します。 軌跡図など、追加の資料を求められることもあります。 道路管理者も、道路台帳などで審査できる場合もありますが、道路の現地計測や、橋梁の耐荷力の計算を限られた時間で行うこともあります。 便覧に新たな道路を追加するには相当の手間を要することが多いので、委託により登録データを作成している自治体もあります。
工事などで収録した道路の交通規制を行うときは、国土交通省に報告をする必要があります。〔参考:特殊車両の道路通行規制情報〕
重量車が通れるネットワークの充実等
古い橋梁は重たい車両を通行させるだけの耐荷力がないため、橋の耐荷力補強を行い重量車が通れるネットワークを充実させている道路管理者もあります。 また、分割できない重量物を輸送する企業から、橋梁の補強工事の申し出があったときは、承認工事で対応します。
過積載車両の取締り
国土交通省は、道路の劣化に与える影響が大きい重量を違法に超過した大型車両の対策として、悪質な違反者を厳罰化するなどの方針を示しています 1) 。 道路管理者は、車両重量自動計測装置や台貫所(取締基地)を活用して取締りを行っています。
道路管理者や道路監理員は、基準に適合しない車両を通行させている者に対し、通行の中止や総重量の軽減、徐行その他通行方法について必要な措置を命ずることができます(道路法 第47条の14)。 これらの規定に違反した者や、使用人が違反したときの法人や法人の代表者には、 罰則が定められています(道路法 第103条~第105条)。 悪質な違反者は、許可の取り消しや告発の対象となります。
幅が一般的な制限値の2.5m以下の車両であっても、狭い道路を通ることはできません。 下表のとおり、車両制限令に道路の幅に応じて通れる車両の幅が定められています。 この制限は、最大幅の標識の有無にかかわらず制限されます。〔参考:道路管理者による車両の高さや重量の制限〕
この制限を超える車両をやむを得ず通行させようとするときには、道路管理者に通行の認定を受ける必要があります(車両制限令第5~7、12条、車両の通行の許可の手続等を定める省令 第6条)。