当たり前のように食卓に並ぶ炊きたての一膳のごはん、日本人にとっては最高の美味しいご馳走です。   しかし、「世界のお米」の視点から見れば「日本のお米」は歯応えも味気もないイマイチな味覚なのかもしれません。   今回は世界という視点から見た「日本のお米」と「世界のお米」を考察します。   日本の米と外国のお米の違いとしては、「ジャポニカ」と「インディカ種」。   日本で栽培されているお米はジャポニカ種で、粒の長いインディカ種と比べて、粒が短く、丸みがあるのが特徴。   世界中にあるお米を大別すると下記の種類に分かれます。全世界には1000以上にも及ぶ種類のお米が存在します。   「形」「食味」などの特徴から分類すると「ジャポニカ米」「インディカ米」「ジャバニカ米」の3つに分けられます。   世界で作られている「日本のお米」の長所にも触れてみます。   日本型といわれ、日本で作られるほとんどのお米はジャポニカ種、丸みを帯びた楕円型の形状が特徴です。   日本、朝鮮半島、中国北部が主な産出国。   ジャポニカ米の需要は世界での消費量の20%弱、日本人としては意外に少ない数字のようにも思います。   弾力があり、熱を加えると粘りが出るのが特徴です。 食べ方は、白米なら炊く、もち米なら蒸すのが一般的です。   ジャワ型といわれ、形はジャパニカ米とインディカ米の中間のような形状です。   ジャワ、インドネシアなどの東南アジア、イタリア、スペインで栽培されています。 粘り気はインディカ米に近く、昔は泡盛の原料として使われていましたが、今はイタリアなどの一部でパエリアやリゾットなど使われる品種です。   少し大粒で、あっさりとした食感が特徴です。   稲の原種である野生稲の特徴を受け継いでいるお米をいいます。   古代米にもいろいろな種類がありますが、一般的に知られているものでは、ヌカの部分に赤い色素(タンニン)を持つお米を「赤米」、紫黒系の色素(アントシアニン)を持つものを「黒米」、緑の色素を持つものを「緑米」といいます。   生命力が強く、劣悪な環境でも育ちますが収穫できる量は半数以下。 栄養価に優れ、美容食としても注目されています。   「ジャポニカ米」「インディカ米」「ジャバニカ米」   出典:食糧庁「着検手帖(農産物規格規程(抄))」   世界の米生産量・消費量ランキング   資料 : 日本のデータは平成26年度「食料需給表」より、その他の国・地域は米国農務省「PS&D」(10 November 2015、2014/15年の数値〈見込値を含む〉)より作成   ※注 : 数値は精米ベース   世界中で生産されている主なお米の種類はおよそ1000種。   10万種類以上の稲が栽培されているといわれています。   年間の生産量は4,7億精米トン。   そのうち日本の生産量はわずか2%程度にとどまります。   生産量の一位は中国、全体の31%を占めています。   ついでインド、東南アジア、南アジア、南米、日本、アメリカ合衆国。ヨーロッパではイタリア、スペイン。   アフリカではマダガスカル、エジプト。オーストラリアもお米の産出国として有名です。   輸出量の最も多い国はインド、全体の25%を占めています。お米は南極を除く全ての大陸110カ国で生産され、世界の半数以上の人々の主食となっています。   世界のエネルギー摂取量の20%がお米、小麦の19%、トウモロコシの5%と続きます。   消費量の最も多いのはバングラデシュ、一日の消費量はおよそ470グラム、これは日本人の平均的な消費量の約3倍。   ついでラオス、ベトナムなどのアジア圏、アフリカ、中南米、日本の順になります。   関連記事:業務用のカリフォルニア米について   関連記事:業務用米含めたお米の価格相場の傾向      ブレンド米としても使用されるジャポニカ米は中国北部、朝鮮半島、台湾北部、タイ、ベトナム、アメリカ合衆国西海岸一帯、アーカンソー州などの南部、オーストラリア、エジプト、ブラジル・アルゼンチンなどの南米で栽培されています。   そのうち日本国内で消費される輸入米の50%以上はアメリカからの輸入米です。   そこで、 海外で生産されるジャパニカ米の美味しいお米と評価の高い「日本のお米」をあげてみました。         外国で作られる「日本のお米」でまずあげられるのがこのお米です。日本の「コシヒカリ」と遜色なく、むしろ国産の安い「コシヒカリブレンド米」より美味しいという評価も得ています。         イタリアのお米は、工程が稲作りから収穫まで日本の方法と同じに作られています。   イタリア北部にはリゾットに使用するお米など、お米の栽培が古くからおこなわれている地域もあり、日本と共通する食感があるものと思います。   コシヒカリ      オーストラリアのお寿司に使用するお米です。   オーストラリアはオージービーフだけでなく魚介類も新鮮。マグロやサーモンは日本でオーストラリア産のものも多く食されています。 オーストラリアでは寿司も人気メニューのひとつ。   そこで使用されるお米は日本の美味しいお米と遜色ありません。 その他、アメリカ産「スイートライス」(もち米)やイタリア産「めぐみ」なども「美味しい」と評判のジャポニカ米のひとつです。   関連記事:【保存版】好適米についてわかりやすくまとめました!   今注目の古代米のご紹介です。古代米にもいろいろな種類があります。   日本には2000年前の古代中国から伝わったとされています。      玄米が赤褐色、ヌカの部分に赤い色素(タンニン)を多く含んでいます。   軽く精米すると薄い赤色になり、ヌカを取り除くと白米になります。赤飯の起源であると考えられています。 現代の白米に比べタンパク質、ミネラル、各種ビタミンが多く含まれています。   調理法として 魚介類と混ぜてパエリアにするとカラフルで見た目もきれいです。 白米と混ぜて本物の赤飯を作るのもアイデアのひとつ。      玄米が黒く、ヌカに紫黒色(アントシアニン)を含んでいます。軽く精米すると紫色のご飯が出来上がります。おはぎの起源として知られ、古くから祝いのお米として珍重されていました。   中国では豊富な栄養素をふくんだお米、不老長寿の米として喜ばれています。   タンパク質、ビタミンB郡、ナイアシン、カルシュウム、マグネシウムなどが豊富に含まれ、老化防止、美容効果も高いといわれています。   日本人にとって「モチモチ感と粘り」があるご飯が美味しいという先入観がありますが、世界にもそれぞれの味覚があって当たり前。   たぶんインディカ米でなければ味気ないという感性が8割を占める主流なのでしょう。   日本の味覚を守ることも大切であるのと同じに、世界の味覚を知ることも新たな視野が広がるきっかけになるかもしれません。   最後に世界でも評価が高い日本米を海外で店舗等で扱いたいなどの理由で輸出をするためには以下のような手順が必要です。   ・食糧法に基づき、事前に最寄りの農政局管内の窓口へ輸出数量の届出を行うこと。   ・植物防疫法に基づき、植物防疫所において輸出検査を受けること。   ・輸出相手国・地域の要求によっては、植物検疫証明書の添付や輸入許可証の取得などが必要になる場合がある。   輸出先国・地域によっては、指定精米工場での精米や登録くん蒸倉庫でのくん蒸などの特別な条件を満たすことが必要になる場合があります。