海外に取引先があり、消費税の処理に迷う方が多いと思います。   本記事では、   を解説します。       以下、消費税の区分判定をフローチャート化したものです。      まず、「国内で行われた取引か」を判定します。       物の販売の場合には、   で判定します。   目に見えない無形資産においては以下の場所が国内にあれば国内取引でです。特許権、実用新案権、商標権等著作権、ノウハウ等営業権権利の登録機関の所在地その譲渡又は貸付けを行う者の所在地その権利に係る事業を行う者の所在地       サービスの提供の場合には、   で判定します。   なおサービスの提供が行われた場所が明らかでないものは、   サービスの提供を行う者の事務所等の所在地   で判定します。       このように、   なのですね。       具体的な取引としては、   海外で行う現地ツアーコンダクター、ウェディングプランナーなどが考えられます。   (*注1)国境を越えるインターネット等を通じたサービスは、サービスの提供を受ける側の所在地で判定します。   参考記事:       国内取引に該当しても、   一定の取引は政府が消費税を課さない「非課税」   として限定的に決められています。   具体的には、   です。       一旦課税対象にはなるけれども、   国が「(政策的に)消費税を課さない」       と決めているものです。       輸出免税等とは、具体的には以下の取引などです。   これらは、       日本で取引は行われるけれども、   消費は海外なので消費税を免除する       という意味合いのものです。「0%課税」のようなイメージですね。       上記のフローチャートに当てはめて確認します。       まず、国外で行われた取引であれば課税対象外。消費税は請求に含めません。   国内で行われた取引であれば   輸出免税取引等に該当するか確認します   (海外への売り上げで非課税取引は限定されているためここでは考慮しません)。   輸出免税等に該当すれば、消費税は請求に含めません。       ほとんどの場合、   と   考えて良いでしょう。       「海外に売り上げた場合は消費税は請求しない。   だったら対象外・非課税・免税いずれで処理しても   問題ないのでは?」   と思われる方もいるかもしれません。   しかし、この3つを混同してしまうと       納税額が正しく計算されません。           消費税の原則的な計算は、   預かった消費税から支払った消費税を差し引いて行います。      ここで問題なのが、   ということです。       結論からいうと、       国内の売上のうち、消費税の課税対象の売上分までしか   支払った消費税を差し引くことができません。       この「国内の売上のうち、消費税の課税対象の売上分」のことを   と呼びます。       ただ、厳密に行うと大変なので       国内売上のほとんど(95%以上)が消費税の課税対象の売上であるならば、   支払った消費税を全額差し引くことができますよ   、というルールがあります。   このルールによれば、   非課税売上がほとんどない会社は、基本支払った消費税を全額差し引くことができます。          一方、非課税売上の額が大きくて、   課税売上割合が95%未満である場合には、支払った消費税のうちが出てきます。      したがって、   そもそも課税売上割合に影響しない「対象外」、   課税売上割合に影響し、かつ支払った消費税を差し引くことができる「輸出免税等」、   課税売上割合に影響し、かつ支払った消費税を差し引くことができない「非課税」   を分けないと   「支払った消費税」の額を誤り、結果として納税額を誤ってしまう可能性があります。       同じ「消費税がかからない」取引でも、   区分する必要があるのはこのためです。   海外に売り上げた場合には、この3つの区分をきちんと行うようにしましょう。