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免税店は令和7年度税制改正でどう変わる?現行制度と照らし合わせて徹底解説
2022年以降続く外国為替相場に対する円安傾向により、「安いニッポン」でショッピングを楽しむ外国人旅行者が毎年数多く訪れています。
彼らが日本国内で購入した物品を出国の際に持ち出す場合、実質は輸出取引と変わらないことから、一定の要件のもとで輸出取引と同様に消費税が免除されます。
この免税制度は、インバウンド客による消費拡大のための政策ツールとして重要なものです。その一方で、制度を不正に利用する事案が相次いだため、制度の見直しが課題となっていました。
そこで、令和6年12月20日に与党が公表した「令和7年度税制改正大綱」では、リファンド方式の採用を始めとした、制度の抜本的な見直し案が盛り込まれることが言及されています。
今回は主要な見直し案について、現行制度と比較しながら解説していきます。
なお、この改正は記事内でご説明するされます。
改正について解説する前に、まずは現行の免税販売の流れを確認していきます。
購入者が免税購入対象者の要件に該当するかどうかを確認します。
購入者に対して「その物品を出国の際に所持していない場合には、免除された消費税額が出国の際に徴収されること」等を説明します。
その物品が消耗品である場合には、特殊包装をして引き渡します。
パスポート等に記載されている情報や免税対象物品の品名、数量、金額等(購入記録情報)を速やかに国税庁に提供します。
国税庁に提供した購入記録情報は7年間保存する必要があります。なお、日本国籍を有する者に免税販売する場合には、1.で確認した証明書類の写しも併せて保存する必要があります。
現行制度では、免税購入対象者に対しては税抜き金額で販売し、出国時の税関検査でその物品の持ち出しが確認できない場合に、その分の消費税額を徴収する方式をとっています。
この方式では、税抜き金額で購入した物品を日本国内で税込み金額で転売し、さらに出国時の税関検査を逃れることで利益を得る不正が相次ぎました。
今回の改正では、ことになります。
持ち出しされたかどうかの情報は、国税庁の免税販売管理システムを通じて税関長から免税店に提供されます。
なお、返金手続きは、免税店と契約した特定の事業者(承認送信事業者)に委任されることが一般的になると想定されています。
現行制度では、免税購入対象者が免税対象物品を郵便局で海外に配送した場合(別送)には、税関検査の際に郵便局が発行する引受証および発送伝票の控え等を提示することで、国外への持ち出しの確認を受けることができるとされています。
この制度は不正に税関検査を逃れる手段として利用されていたため、されます。
なお、免税対象物品をその場で免税店に引き渡し、免税店から運送事業者を通して海外に配送する方法(直送)は、通常の輸出取引として引き続き免税販売の対象となります。
免税対象物品は、免税購入対象者が国外に持ち出すために購入する物品のうち、通常生活の用に供する物品に限られます。
したがって、日本滞在中に消費することを予定して購入される物品や、事業の用に供する物品を免税販売することはできません。
また、免税対象物品は一般物品と消耗品に区分されます。それぞれの区分ごとに同一の免税店での一日あたりの購入金額の合計額が設定されており、次の金額でなければなりません。
なお、消耗品は国内で消費されやすいという性質があります。そのため消耗品を免税販売する際には、開封したことが分かるような特殊包装をする必要があります。
今回の改正では、。したがって、今まで消耗品に区分されていた物品については一日当たりの購入上限額(50万円)が廃止され、特殊包装をする必要もなくなります。
また、されます。
その一方で、金地金等の不正の目的で購入されるおそれが高い物品については、免税販売の対象外とされる物品として個別に定められることとなります。今後、どのような物品が対象とされるか注目しましょう。
免税購入対象者は外国人旅行者などの非居住者であって、一定の要件を満たす者をいいます。
また、日本国籍を有している者でも、海外出張等による海外での居住期間が2年以上であれば、一時帰国した際に免税購入対象者となることができます。
実務上は、免税販売する際にパスポート等を確認して免税購入対象者であるかどうかを確認します。
現行制度の確認方法では、日本国籍を有する者に対する確認等の負担が大きいことが指摘されていました。
そこで、現行の確認書類(在留証明または戸籍の附票の写し)については、本籍の地番の記載が不要となり、さらに国外転出者向けのマイナンバーカードを確認書類とすることもできるようになります。
また、購入記録情報に証明書類の種類および国外転出した日等を加えることにしたうえで、確認書類の写しの保存が不要とされます。
今回は「令和7年度税制改正大綱」に盛り込まれた主要な改正案について解説しましたが、今後内容が変わる可能性があるため、引き続き情報を追っていく必要があります。
また、改正の大部分はされるため、それまでに免税店を設置しようとする事業者は現行制度についても把握する必要があります。
辻・本郷 税理士法人では免税店の許可の申請から運営まで総合的な相談を承っていますので、ぜひお問い合わせください。